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好きで、好きで、すきで/岡田コウ

漫画

好きで好きで、すきで (セラフィンコミックス)

好きで好きで、すきで (セラフィンコミックス)

最近のエントリーがほぼマンガになっているのは、読書をさぼっているからです。
というか、積読マンガが増えすぎてしまって、軽く30冊は超えている。それを消化するのに忙しく…加えて今期は見ているアニメも多く…とオタク特有の言い訳をしても仕方がない。

早速だが、岡田コウ氏の3冊目の単行本である。
彼女の作品を最初に読んだのは『阿吽』だった。ぶっちゃけ言うとこの雑誌、全体的に絵のレベルが低い(失礼)。しかし、岡田氏の作品はその中でも抜きん出ていて、読むに値する画力だった。

その時に掲載されていたのが、この本の最初にある『一枚上手』の後編だったわけだが、これを読んだ時、作者についての知識がほぼ無きに等しかったため、男性作家の作だと思い込んだ。
ていうか、女性がこれを描いていたら、嫌だな、と思ったのだった。

そしたら後日、女性作家であることが判明し、御見それいりました。
「女性が描く少女」に、ある種のタイプを見出したと思い込んでいたが、どうやら間違っていたらしい。少女をこんな風に描く女性もいるのだ。
というのも、彼女の描く少女は「肉体しか存在しない」といった印象を与えるからだ。もちろん、少女たちは思考している。しかし、その思考にリアリティーがない。どこか他人の考えを借りて、自分の意見を述べているような、そんな印象を与える。
言ってしまえば、アンドロイドのような感じなのだ。その辺にいそうな身近な女の子にはとても思えず、特殊な存在に見えるのだ。何故だろう。

というのも、本作がすべて妹ものであるからかもしれない。中篇3本に短編1本。全て中学生の少女が主人公であり、相手は実兄である。
もっとも、おいらには妹属性もないし、近親相姦というジャンルに魅力を感じていない。実際に兄弟がいっぱいいた自分にとって、近親者というのは、もっとも性の対象にならなかったし、考えただけでおぞましいというか気持ち悪いのだ。
つまりは常識の範囲内でしか妄想できないし、言ってしまえば至ってノーマルなのだと思う。

近親相姦もので思い出すのは、『快楽天』が今のような直球エロ雑誌になる少し前に陽気婢が描いていた作品くらい。
陽気婢の近親相姦ものは切なくて泣ける話のが多く、マンガとして面白かったので印象に残っている。
恐らく『内向エロス』に収録されていたと思う。

内向エロス 1 (ワニマガジンコミックス)

内向エロス 1 (ワニマガジンコミックス)

内向エロス 4 (ワニマガジンコミックス)

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話は戻って、岡田氏の前作(『ちゅー学生日記』)が2chのエロ漫画大賞を取ったらしいが、以前から思っていたけど2chは妹もの本当に好きだな。前も、月野定規の妹ものが受賞していたし、あそこに群れてる輩は妹厨が多いってことか。

本作はどれも妹が兄を熱烈に慕っているというパターンである。しかも彼女たちは兄と性的に結ばれることを当然のように考えている(!)。

妹の兄への一途な思い----どうして兄でなくてはダメなのか----ということに関する説明は当然だけれど、一切ない。「どうして好きになったのか、どこに惹かれたのか」と無粋ではあるが問いたくなるほど、兄への執着が自らの発露ではなく、ある種の「義務」や「制度」のように見えて仕方がないのだ。
そこの説得力のなさはエロ漫画だから仕方ないにしても、宿命のように実兄に惚れ込んでいるのを見ると、これはいわゆる犬猫と同じで、一番身近にいる人を好きになるというパターンなのだろうか。

例えば、ギリシア時代から近親相姦は禁忌中の禁忌だった。有名なギリシア悲劇オイディプス王』をあげても、オイディプスは実母と知らずに関係してしまったことに、激しく苦悩し、最後は自らの両目を抉り出す。
近親者だと知らなかったとはいえ、自らを「災いをもたらす者」とし、国を出ていく。つまりは、近親相姦というのは、そのくらいタブーなのだ。

アポロンの地獄 ニューマスター版 [DVD]

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それを考えると、昨今のエロ漫画はなんとフリーダムなことか。
びっくりするほどユートピア!

話はそれるが、エロ漫画の発端(?)は、恐らく80年代に隆盛を極めた美少女ロリコンブームの中で、少女や女性キャラに向けられた、男性の一方的な「悪意」であり、だからこそ森山塔があれだけブレイクしたのではないかと思う。彼の作品は、いたずら心から発した意地悪をエロ漫画として体現していたからに他ならない。彼の作品が支持された理由も、少女たちに対する徹底した「底意地の悪さ」があったからこそだ。
しかし、現在のエロ漫画は、和姦全盛である。つまり、美少女キャラたちは陵辱される対象から、一切の欲望を引き受ける請負人へと進化を遂げたわけだ。

そして今回本作を取り上げたのは、巻末に収録されている『ふたごころ』が、いわゆるNTR---寝取られものであり、これによって岡田氏がネット上でバッシングを受けたことに対し、援護したいと思ったからである。

ぶっちゃけ言うと、エロ漫画家は「磨いてもエロ漫画家」でしかなく、そうした立ち位置を考えても、作者のサイトで読者との睦まじい交流など望むべきでなく、拍手やコメントを受け付けようなどとすれば、キチガイや粘着ホイホイのごとく、そういう頭のいかれた輩をたくさん呼び込んでしまうであろうことは、あらかじめ予測できるわけで、批判や罵倒されたことにいちいち凹んで、それをまたツイッターやブログに書くのは正直どうかと思ったりもしたが。

しかし所詮、エロ漫画の読者とは、読者という質の上では最下層であり、底辺人種なわけです。
自分にとって都合のよいエロ漫画しか評価しないし、エロ漫画家のことはオカズ製造機くらいにしか考えていない。
そんな連中に、やれ作家性だ、メッセージだ、などと説こうとしたところで、馬に念仏、無駄骨なわけです。

つまり、エロ漫画家諸氏は、凝り固まった偏屈な読者など最初から相手にせず、描きたいものを思うままに描いて、それを貫けばいい、と思うわけです。
要するに岡田氏に言いたいことは、どのような作品でも発表した以上、それには誇りを持つべきだし、同時に責任も取るべきだと思うわけです。
よしとして描いたのであれば、どんな批判やバッシングがきても、それに怯むことなく、堂々としていて欲しい。
凸したり、Amazonのレビューでいたずらに評価を落とす厨には、つける薬もないし、相手にするだけ無駄だと思います。

そして願わくば、エロ漫画読者はマンガとして面白いか否かで作品を評価してあげて欲しいと思う。

で、本題。

4作のうち一番よかったのは『浮空』。
実家に帰省した兄と、中学生の妹がひたすらやりまくる話ですが、途中でぶつぎれたように終わるラストが実によかった。
ああ、結局は兄は妹と関係したことに少なからず罪悪感を抱いたわけで、事後に至って、逃げるように姿を消した兄に向かって、妹が「うそつき」と呟くシーンで初めて、ヒロインの本音が聞けた気がした。それ以前の「お兄ちゃん好き好き」というヒロインはどこか嘘臭く、演技臭く思えて仕方なかったが、罪であることを知っていながら共犯者になったのに逃げた兄貴をなじることの正当さよ。

関係ないけど、彼らが青姦しているのを見て、この最中に悪意ある第3者が現れて、兄の前で妹が犯されたら、面白いなと思ったりしたおいらはサディストです。というか、これぞ真のNTR

で、問題作の『ふたごごろ』。
これについては先に述べたように、兄と結ばれることを信じて疑わない妹のモノローグがひたすらうざい。
兄の親友にやられながら「どうしてこれがお兄ちゃんじゃないんだろう」という、その発想自体が既に間違っていますから! 赤の他人とやる方が正常ですから!

それとNTRというから、実兄と既に結ばれていたのかと思えばそうではなく、妹の片思いであり、故に事実を知った兄が驚愕する場面もシリアスには感じなかった。
むしろ、おいらは兄の親友に感情移入したけどな。冷静に考えれば、こいつは悪人の役回りをさせられているだけで、実際は近親相姦の変態兄妹の妹を好きになってしまったかわいそうな奴じゃないか。
やっている最中もひたすらヒロインに拒まれ、恐れられ、気の毒極まりない。
異常なのはヒロインであって、正常な兄の親友が悪の権化にされている。

異常を正常であるかのように描くことが、エロの真髄なのかもしれないが、あまり理解したくはない境地だな。

なので、NTRとしては消化不足気味というか…、NTRものをそれほど読んでいないので、これはれきっとしたNTRだ、と言われれば納得するしかないのだが。

しかし、このマンガにgdgd抜かした連中は、妹は所有物=俺のもの、と頑なに思っているんだろうな。
頭が痛い。というのは、いかなる身内でも、それが他者である以上、己の所有物などでは決してない。人を「所有物」にできると思うこと自体がおかしい。他者を認めない、他者を尊重しない、幼稚な思い込みでしかない。

最後に絵について。
女の子の表情はよく描けていると思った。誰が流行らせたのか不明だが、ヒロインは常に昨今はやりのふにゃ口で、まあそのふにゃらけ方がよい塩梅にふにゃらけていると思った。
しかし、ヒロインたちは中学生の割りに幼すぎる気がする。ぶっちゃけ、小学生に見える。確かに中学生はガキには違いないが、少女と女性の中間であるエロティックさ、つまりは不完全な色気があってもいいのではないか。
そこいくと、山本直樹の『フラグメンツ』の雪子さんは、女子中学生にちゃんと見えて、なおかつエロかった。

フラグメンツ (1) (Big spirits comics special―山本直樹著作集)

フラグメンツ (1) (Big spirits comics special―山本直樹著作集)

あと、作者はコミスタで液タブで描いているらしいが、デジタル臭はなく、おいらが知ってるコミスタ使いの作家によく見かける頭がでかい病(きづきあきらとか)にも見えず、うまくツールを使いこなしているなあと思った。