楽天記/古井由吉
- 作者: 古井由吉
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1995/10
- メディア: 文庫
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私小説風というのかな、主人公の柿原はまんま古井らしき人物。
関屋という歴史上の疫病ばやりが好きな青年との対話。
再会した奈倉という古い友人。彼は柿原が旅行中に死んでしまう。
その奈倉を慕っていたと思われる木村という女性。
それらが主な登場人物となって連作形式でつづられる。
正直言ってあらすじというあらすじは存在しないし、これといって事件が起こるわけでもなくただすーっと読めてしまうとしか言いようのない作品。
今まで読んだ古井作品のなかではダントツで読みやすかったけど、今までのが強烈すぎて印象が最も薄いのは否めない。
うーん。いわゆる作者の意図とかそういうのを汲み取ろうとすると、なんとも難しい作品であるとしか言いようがない。老いとかそういうのがテーマなのは分かるのだけれど。
まあでも文章の巧さは他に随を許さないのでこの点です。
<複>『楽天記』古井由吉 ★★★