読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

このページを読む者に永遠の呪いあれ

スマフォからコメントを書き込む場合、一度PCモードで表示してください

コメントを書きこむ前に、こちらの記事に必ず目を通してください 「処刑宣告

許されざる者/クリント・イーストウッド

映画

許されざる者 [DVD]

許されざる者 [DVD]

いや〜、今年のアカデミー賞は最高でした!!

ボーイズ・ドント・クライ [DVD]
クリント・イーストウッドの『ミリオンダラー・ベイビー』(MILLION DOLLAR BABY)が総なめにしたでしょ。もうそれだけで結果を見た時は飛び跳ねました。
しかし『ミリオンダラー・ベイビー』は今夏公開ということで、遅いよなあ。オスカー受賞したんだからもっと早くに公開してよ、と思うけれど。
とにかく主演女優も前に書いた記事の『ボーイズ・ドント・クライ』のヒラリー・スワンクだし、タイトル聞いただけで、いろいろと想像しちゃって今から楽しみです。

ミスティック・リバー [DVD]
さて、イーストウッド自身、オスカーの常連なので受賞自体、さして珍しいことではないけれど、今年の受賞が特別なのは去年の『ミスティック・リバー』が政治的理由で受賞できなかったからなんです。
あの映画はイーストウッドの映画の中でも最高傑作といわれたし、相当以上にすごかったので、正直、主演・助演男優賞受賞がお情けじゃないのか? と思えるくらいの結果で、憤懣やるかたなくさせられたものでした。去年はブッシュのせいで作品賞が受賞させ(られ)なかったけど、今年は大統領選も終わったしで、イーストウッドで「爆発」したということなんでしょう。


見ていない人にはあれだけど、『ミスティック・リバー』(公式サイト)という映画は最後まで見ると「ああ、これはアメリカとイラクのことだったのか…」と分かるっつー寓話になっていて、単純にアメリカを痛烈に批判するという映画でもない分、複雑な気分にさせられました。
ミスティック・リバー』で描かれる皮肉な復讐劇にしても、イーストウッドの映画にあるのは一貫して「いかなる正当な理由があろうと殺人者は『許されざる者』」というメッセージではないかな、と思う今日この頃。


そこで、数年前に大絶賛された『許されざる者』(内容詳細)の話になるわけですが、タイトルの『許されざる者』とは誰なのかいうまでもなく、それはイーストウッド演じる元・殺し屋ビル・マニーなのだと思います。


映画の内容は西部劇によくある復讐話だし、殺人も正当な理由に見えるけれど、イーストウッドはそれらを決してお約束どおり、型どおりに撮ったりはしない。
例えば賞金目当ての復讐殺人に至るまでの過程は、殺し屋たちは決してかっこよくないし、「おまいら、本当に敏腕の殺し屋だったのかよ」と思えるほど情けなくて、酒場で袋叩きにされて追い出されるイーストウッドの姿はその真骨頂でした。肝心な殺人の場面も3人の殺し屋達は葛藤し苦しみ続けながら、殺人を遂行する姿が描かれるわけです。


情けない殺し屋達の姿が延々描かれた後に、最後、相棒(モーガン・フリーマン)が殺されたことを知ったイーストウッドに、本当のスイッチが入ってしまって、酒場で銃を乱射しまくるわけですが…


その姿は確かにかっこよいし「映画的な殺し屋」たるイーストウッドをやっと拝めるし、町を去るときの「ネッド(モーガン・フリーマン)を丁重に埋葬しろ 娼婦を人間扱いしろ さもなければ皆殺しだ」と言い捨てて去っていく姿は、マジ、かっこよすぎなのだけれど、何というか、よくあるこうした復讐劇の後の「スカッとしたぜ」という感想とはまた別の印象を残して、ああ、イーストウッドだなあ、と思いました。


人の命の重さや殺人という罪を表現しながら、親友を殺された主人公の復讐をかっこよく描きつつもやっぱりイーストウッドは主人公を『許されざる者』と呼ぶ。そこに改めて作家魂を見る思いがします。


そうした超越性倫理を直球で観衆にぶつけてくるイーストウッドはかっこいいなあ、と心から思います。