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エロ漫画の必要性

ところで、最近はネットの普及により、簡単に無料エロ画像が手に入るご時世となってしまい、そんな状況下で、エロ漫画を描くことに必要なこととは何なのか考えてみようという感じです。

そもそもポルノグラフィーには「商品」価値しかない。「消費」されるためにあり、「消費物」として対価を支払う以上のものではない。その意味において、読み捨てられるエロ漫画は、既に窮地に立たせされていると言ってよい。

いい証拠に、現在の「普通の兄ちゃん」はエロ漫画をほとんど読まない。読んでいない。
「だって、実写の方がエロいも〜ん」とおっしゃる。そりゃあ、そうだ。究極のエロとしての実物に敵うはずがない。しかも、実写の方が簡単に手に入る。しかも無料。無修正だって手に入る。
ところがエロ漫画は「絵」であるし、無論、著作物だから、非合法を除いて無料で手に入ることはない。
「有料」で、しかも「絵」。この時点でエロ漫画は相当ぶが悪い。だからこそ、普通の人は読まなくなってしまった。多分、今の読者はオタクだけ、もしくはおませな中高生(何だよな…)だけと言っても過言ではない。

正直、そういった状況でエロ漫画を描くことに意義はあるのか?
答えは「ない」でーす。

それでは現代において、エロ漫画の「必然性」ってどこにあるのでしょう?
それは、きっと「実写」との差異しかないんではないだろうか。分かりやすい答えだが。
「実写」では得られない、リアリズムを提供するしかないんじゃないですか、ということです。
ここでのリアリズムは「実在性のリアリズム」ではなく、「完璧な虚構」とでも言えばいいのか。

つーことは、デフォルメの勝利ということですか? 

と言うと、それはちょっと違っていて、ここでの「完璧な虚構」というのは、造形の問題ではなく、作品のペーソスにかかってくる部分です。これは同時に「説得性」といいかえることができるわけで、デフォルメというのは一種の表象化された記号なので「なんか説得されたな」という気になるのは、記号であることをあらかじめ知っているからです。
未開の地に住む、例えば赤道直下の人々に漫画を見せて、「これが最高にかわいい女の子なんですが」と言っても、通用しないだろう、ということにおいて、その限りではない、ということです。

「完璧な虚構」については、先日も書いた大塚氏の「サブカルチャー文学論」でも言える事なのだけれど、大塚氏が拘泥していることの本質はここにあるんじゃあないだろうか。
大塚氏は「キャラクター小説=虚構小説」を掲揚しますが、反面、純文学作家の「キャラクター小説」を批判している。ライトノベルとしての架空小説は認めるが、純文学としての架空小説はいくない、というのはどう見ても ? 論理矛盾を抱えています。

自分の選定基準はライトノベルとか純文学といった囲い込みではなく、要は「面白くない架空」とは、通俗的で世間に迎合する価値観しか提示できていないものだと判断している。逆に、優れた「虚構」は、もう一つの現実の中にあっても、通俗性から切り離されている。つまり、そこには「自由」があり、夢も希望もある。むしろ、これをもっている作品というのは、万国共通、未来永劫の普遍的価値がある。
で、大塚氏のいうところの「面白くない架空小説」というのは、結局は「フィクションの合間に覗く社会性」ではないのか、と思うのです。

じゃあ、面白いエロ漫画って何? といわれれば、それはやっぱり『世間』から切り離されたものなんだろうね、ということになると思われる。が、これまた難しい。何故なら、エロはそもそも「対世間」によって「エロ」と見なされるシステムの上に成立しているからです。

ですから逆に、つまらないエロは簡単に定義できる。
それは「社会システム(世間)に収斂されることを目的とし、かつそれに屈託がなく、またそれを山車に同情を催させる」エロに違いないのです。これこそ、「俗情との結託」ですがな。
大塚氏が以前に、陽気婢先生を誉めていましたが、その文章を読む限り、こういうところを誉めているのではないかと思われます。

だから、面白いエロ漫画の確立は難しくても、「つまらない」エロ漫画の回避はできるわけです。それを模索し、追及すれば、それはきっと「面白い」ものに転じるに違いない、という理論。

しかし、「夢も希望もあって、万国共通、未来永劫の普遍的価値がある」エロ漫画って、読みたいですか? それってエロいの? いや、多分、エロとしての役割半分…。つーか、エロくないだろう。

いやね、実は「俗情との結託」した方が売れるし、生き延びるんですが。

そーなんです。そうなんです。
そんなことは分かっているのです。しかしですね、作家の倫理として、それはやっちゃいけないだろう、そればっかやてたらなめられちゃうだろ、逮捕されちゃうだろ、規制されるだろ、ここはやはりエロ漫画を発展させたほうがいいと、そうしてエロ漫画全体の質を高めることによって、生き残りを図ろうと言う、とても前向きな意見なのだ、しかしですねー、売れなきゃ駄目でしょ、それに「エロ」は世間の上に成立していると言ってたじゃないですか、それを捨てたらエロとしての機能半分、つーかエロくなくなるじゃないですか、そうしたら本末転倒じゃあないんですかと、収拾つかなくなってきたので、この辺で…

完。