ベルベット・キス/ハルミチヒロ
ベルベット・キス(1) (バンブー・コミックス VITAMAN SELECT)
- 作者: ハルミチヒロ
- 出版社/メーカー: 竹書房
- 発売日: 2010/05/07
- メディア: コミック
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『ベルベット・キス』は、ただの営業サラリーマンである主人公・新田信が、うっかり数千万円の借金を背負うことになり、その代償として、金持ちで抜群の美しさをもつ少女・花乃子(かのこ)の「友達」になるよう命令され、花乃子の性的玩具にされるという、まあ筋だけ書くと、よくもそんな意味不明な御都合主義設定ができるものだなと感心するほどのレベルの作品である。
筋からみると、支配され所有されているのは完全に男主人公の側であるが、それは単に男がそのシチュエーションに追い込まれているという「言い訳」にすぎない。新田は花乃子のセックスの命令を受けているとき、なぜか辛そうなというか、ハードな顔をしているのだが、どう考えてもおかしいだろ。鼻の下をのばしてウハウハでやるべきところだ。
おいらもこのマンガを読んでみたが、禿同というかまったく同じ意見を持った。しかし、紙屋さんは総体的に評価しているみたいだが。
言ってしまえばすごくおいしい状況なのに、わざとシリアスな顔をして苦悩する主人公にすごく苛立ったし、肝心なエロシーンは女体に何らかの汁がとんでいるだけという手抜きで、絡みと呼べる描写は一切なかった。
紙屋さんは受身のヒロインがいいと言うが、それ以前の問題で作者にはこれしか描けないのじゃないか。
これを支持するやからと言うのは大体予想できる。恐らく村上春樹とかが大好きな雰囲気だけでしか物事を判断できないアホだ。
春樹の主人公たちは誰もが傍から見れば単なるリア充で、なのに誰よりも苦悩しているように振舞う。片っ端からナンパしセックスしといて、「僕は混乱し、孤独だった」。アホか。
おいらはそういう春樹の主人公たちが反吐が出るほど嫌いだ。
結局は相手の気持ちなんて微塵も考えられない、自分大好きな独我論者でしかない。
『ベルベット・キス』の主人公もまさにこれと同じで、単なるラッキースケベ。
ということを以前に某所で書いたら「パシリにされているんだぞ。その苦しみがわからないのか」と言い返された。
はいはい。お前は年端もいかない美少女とただでセックスできるという状況でも、そうやって苦悩するわけかwww。頭沸いちゃった自分大好きな奴がいっぱいいるなあ、と思ったわけです。
最後は大団円と言うか丸く収まった感じだが、いくつかもやっとした点があって、主人公の敵であったはずのヒロインの会社には、ヒロインが未来の重役として落ち着いて、主人公満足です、みたいなトンデモ設定なのも気になった。
そんなの気にするのおいらくらいなものかもしれないが。