うつから帰って参りました。/一色伸幸
- 作者: 一色伸幸
- 出版社/メーカー: アスコム
- 発売日: 2007/09/27
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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一色伸幸といえば、バブル期の日本を代表する脚本家として有名になり、現在も順風満帆に活躍していると思い込んでいた。彼の名を知らない人でも以下に列挙する作品を見れば、いずれかを知っているのではなかろうか。
- おもな映画作品
- 86年 BE FREE!
- 87年 私をスキーに連れてって
- 88年 木村家の人びと
- 89年 彼女が水着にきがえたら
- 90年 病院へ行こう
- 91年 波の数だけ抱きしめて
- 92年 病は気から 病院へ行こう2
- 92年 七人のおたく
- 93年 僕らはみんな生きている
- 93年 卒業旅行 ニホンから来ました
- 97年 香港大夜総会 タッチ&マギー
- 98年 ショムニ
- 99年 お受験
- おもなテレビ作品
- 85年 ハーフポテトな俺たち
- 87年 同級生は13歳
- 90年 それでも僕は母になりたい
- 04年 彼女が死んじゃった
- 05年 おとなの夏休み
一色伸幸がうつ病に罹ったのは94年、34歳の時で、それから約4年間、98年頃まで発病していたとのこと。32歳の頃から調子が悪くなり始めたそうなので、潜伏期間(うつ病だと自覚するまで)を含めると丸6年の闘病になる。
自分の場合は3ヶ月間の潜伏期間を経て、ある日突然、落雷が落ちたかのごとく発病したので、過程はかなり異なっているけれど、発病してからの「消えてしまいたい」願望はよく分かる。
どうして、と聞かれても、ただ、そう思うだけだ、としか応えようがない。今までに培ってきた自信が全て虚勢だったと判明し、自分が無価値に思えて仕方がないのである。患ってから丸10ヶ月が経過したが、この頃やっと回復の兆しが見えてきて、「消えてしまいたい」から「早く治りたい」という風に気持ちが変わりつつある。
本書は彼が脚本家としてデビューし、うつ病が発病するまでに実に100P以上を割いている。なので純粋な闘病記というより、うつ病体験エッセイと呼んだほうがいいのかもしれない。
そして、これが最高傑作であると太鼓判を押す『彼女が死んじゃった。』へと話は移っていく。
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倉科遼は噂で聞いたところによると原作と言っても、ほとんどプロット状態なのだそうで、それに比べれば随分と丁寧である。
しかし、漫画版の『彼女は死んじゃった。』は残念ながら未完であり、そのことについてはネームは最終回までできていて、全3巻の予定だったが編集部との確執など大人の事情で打ち切られてしまった、とある。未完であることは残念でならない。そのくらい出来はよかった。
しかしながら、彼の盟友であった脚本家の野沢尚が04年に自殺しているのだから、実に皮肉なことだと思う。