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SFエンタメの一級品/『世界の中心で愛を叫んだけもの』ハーラン・エリスン

読書

某アニメや某小説のおかげでタイトルの知名度はやたら有名、実際読んでいる人も他のSF小説に比べれば遥かに多いけど、まだな人にも「読んで損はない」と太鼓判で勧められる一級のSFエンタメです。


つーか、表題作がヒューゴー賞受賞、ネビュラ賞受賞作も入っているし、他の収録作も受賞しまくっているので、解説ではエリスン賞もらいすぎ、いや、あげすぎだとSF文壇界をくさしているが、だからといって駄作ではないけど、ドストエフスキーフローベールと並べて評価するほどの世界文学的名作といった過大評価はやはりしすぎるべきでなく、言ってみればSFの「歴史的名著」といった感じ。


本作には10篇の短編、中篇が収録されていますが、一作足りと似たようなものはないので、読み応えは十分にある。
個別にレビューするのはしんどいので★採点でいきます。

世界の中心で愛を叫んだけもの(The Beast that shouted Love at The Heat of The World)』★★★
『101号線の決闘(Along The Scenic Route)』★★1/2
『不死鳥(Phoenix)』★★1/2
『眠れ、安らかに(Asleep: With Still Hands)』★★★★
サンタ・クロース対スパイダー(Santa Claus VS. S.P.I.D.E.R.)』★★
『鈍いナイフで(Try A Dull Knife)』★★★★
『ピトル・ポーウェブ課(The Pitill Pawob Division)』★★
『名前のない土地(The Place with No Name)』★★★
『雪よりも白く(White on White)』★★1/2
『星ぼしへの脱出(Run for The Stars)』★★★★
『聞いていますか?(Are Your listening?)』★★1/2
『満員御礼(S.R.O.)』★★★1/2
『殺戮すべき多くの世界(Worlds to Kill)』★★★
『ガラスの小鬼が砕けるように(Shattered like A Glass Goblin)』★★★
『少年と犬(A Boy and His Dog)』★★★★★

超短編は★の数が少ない結果になったが、駄作という意味ではなく、他の作品に比べると印象が弱いだけ。
個別にみればどれも★3つ以上にはなるが、エリスンはやはり、ある程度の長さがあった方が面白い作家。


世界観で好きなのは『鈍いナイフで』と『ガラスの小鬼が砕けるように』。これら2作はSFではなく恐怖小説といった趣だが、緊張感があってよかった。
SFとしては『星ぼしへの脱出』、『眠れ、安らかに』、『殺戮すべき多くの世界』は素晴らしい。特に『眠れ、安らかに』は表題作よりもよかった。
マッドハウスプロダクションI.Gがアニメ化してくれたらすごく見たいな、と思えた。


『満員御礼』はオチに驚きます。


で、個人的に一番好きなのは、(評判もよくて好きな人も多い)ネビュラ賞受賞作の『少年と犬』。これは本当に傑作!!!! 
最後の2行でやられた。主人公と相棒の犬の友情が泣けるし、叙情的な余韻に浸れる。
エリスンは作品によって文体を使い分けるけど、『少年と犬』が一番好きな書き方でもあった。


総合的には傑作と言われるだけの価値ある本書。
でもエリスンって、そもそも長い小説をそれほど書いていないらしいので、この本どまりでしか味わえないのだが…。


最後に誰もが知りたい『世界の中心で愛を叫んだけもの(The Beast that shouted Love at The Heat of The World)』とは、一体どういう話なのか。おまけ程度ですが、これについてはAmazonのこのレビュアーが一番わかりやすい。というかそのままなので引用します。

・「交差世界」に狂気があって
・その狂気を外に隔離しようとしたけれど
・主人公が「ちょっとまて、この狂気外に出しちゃったら、オレらはいいけど、”外”はどうなるの?」と気付いちゃって
・同僚たちは「ハァ?外のことなんぞシラネ」と言い
・主人公は「自分だけイイってのはイクナイ!」と叫び
・狂気を留めようとしたがもう止められなくて
・主人公は反逆罪で処刑されちゃって
・処刑時に「オレの像建てる時は、狂気の被害者の顔にしてくれ」と頼み
・主人公は、大虐殺をした人間の姿に変わった。
・つまり、人間にいつも狂気があるのは、こういう裏取引が、人間のあずかり知らぬところで行われていたからなのでした。


Amazon.co.jp: カスタマーレビュー: 世界の中心で愛を叫んだけもの (ハヤカワ文庫 SF エ 4-1)



<初>ハーラン・エリスン世界の中心で愛を叫んだけもの』(文庫)★★★1/2