『マンガ・エロティクスF』の陰謀
- 作者: 古屋兎丸
- 出版社/メーカー: 太田出版
- 発売日: 2006/07/06
- メディア: コミック
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最初に言いたいんだけど、「はてなダイアリーキーワード」にある『エロティクス』の説明文に「幅広いフェティシズム・エロティシズムを包含して」というくだりあるけど、オイラの辞書的には間違っている。
オイラからすれば、『エロティクス』は、マニアックなだけであって、フェティシズムではない。
マニアックというのは「マイナーであることに対し開き直っている」ことであり、フェティシズムいうのは「自分こそ主流派だと思い込んでいて、"おかしい"と思われていることに気づいていない」ことなんだよね。
例えば、谷崎潤一郎や稲垣足穂や押井守がフェティッシュだなあって思うのは、彼らは自分の表現や嗜好が特殊だなんてこれっぽっちも思ってなさそうなところにある。
自分の感性を理解しない人がいたら「分からないなんて、かわいそうな人だ」くらいにしか思ってないっつーか。
だけど『エロティクス』に載っている漫画は、サブカルがそうであるように「変」であることにステイタス見つけて、変わっているようにふるまっている凡人というか、一般受けしないことに開き直っているというか、そういう風に見えるんだが。
単なる偏見だけど愛読書が『ユリイカ』『クイック・ジャパン』『STUDIO VOICE』っていう人とだけは、友達になりたくないなというか昔、その手合いが好きだった奴にすげえうざかったのがいたからさ。
しかし、今の『エロティクス』は創刊当時に比べれば、随分と丸くなったというか、普通になった。「マニアック」さが減った気がする。
最後に読んだのいつだっけ。5年前か…
それで、40号の山本直樹トリビュート。
楽しみにしていたんですけどね。正直、買った直後にJAROに電話しようかと思った。15人参加で、1人あたり見開き2ページしかなかった。
唯一面白かったのは、山本直樹が「コンビニ展開に失敗したりもしました」というくだり。
創刊当時から知っているけど振り返るに、今までに『エロティクス』が少しでも売れる努力をしていたことがあるかって言ったら皆無なわけで、努力しているのが見えて「失敗しました」って言ったら「それはご愁傷様」ともなるけど、努力が微塵も見えないまま「実は失敗したんです」って言われたら「ネタかな」って思う。
それで肝心な特集だが、メンツは人寄せできる人材が集まっていてこの出来ってのはいかがなものか。
いろいろ思ったけど、漫画描いている漫画家は比較的よしとして、だ、イメージイラストとか、どうよ。
一番よかったのは、とどのつまりが町田ひらく。
町田ひらくには職人的な(というかいつもの)作品で勝負していた。
関係ないけど、朔ユキ蔵の描く女の子って、どうしていつも「おばさん」じゃなくて、熟女オーラ出しているんだろう…。
ブログの感想とかいちいち読まないけど、目に付いた限り、結構みんな好意的というか、世の人って、ぜんぜん寛容だなあって驚いた。
からいこと言うと、このレベルなら、島中サークルの企画アンソロ同人誌のがクオリティー高い気がした。エンブレの同人アンソロでもいいけど。
で、「これはひどい」と一番思ったのが、太田出版御用達書店の「おすすめ『エロティクスF』漫画コーナー」。
この号って確か40号で、スーパーヴァイザーの山本直樹を盛大に祝おうという企画込みの号なんだよねえ? だのにどの書店員も誰一人、山本直樹をあげていないんでやんの。コメントにすらあげない。この状況はいかがなものか。
空気読めないんだろうか…と思った。
違う!
これは書店員が全員、「どこかの書店が山本直樹をすすめるはず」と思い込んだ故に生まれた悲劇なのだ。しかし、蓋をあけたら誰もすすめていなかった。…
それを修正しない編集部とは何か。分かった! 読めたぞ!
こ、、これは陰謀だ!
本誌を読んで思ったが、最近の『エロティクス』って腐女子シフトつーか女性向シフトが激しくないか。
編集者が女性に代わったので、腐女子かもしれない。小畑健にパイパンチ〇ポ絵描かせてるし。
そして、「ゆくゆくはBL誌」にしたいという目論見があるのかもしれない!
だけど、取り上げられているBL作家が(つか、BL作家に詳しくないけど)、どれも王道ではなくちょっとマイナーなオサレ系作家が多い気がする。というか、編集者の趣味が分かりすぎるくらい分かるんだが。
もっとガチでエロなBL作家も呼べば「懐が広い」と勲章の一つもあげたくなるんだけど…。
ところで、今の『エロティクス』に男性読者っているのだろうか。内容的には女性読者が多そうな雑誌になったなあ。…。男性読者はみな単行本派じゃなかろうか。
「ゆくゆくはBL誌」陰謀説!
あと、中村明日美子さん(知人の知り合いなのでとりあえず敬称をつける)は初期から参加しているが久しぶりに見たら、前よりずっと普通の少女漫画になったなあという印象を受けた。下手すると普通の少女漫画以上に乙女ちっくではないだろうか。それで、どうしてこういうマニアックな絵なのか、理由がいまいち分からない。
そんで、彼女がコメントで「山本直樹にプッチモニと言われた」件について、余計なおせっかいフォローをしとくと、知人によれば似てないそうなので、JARO通報は山本直樹の「プッチモニ」発言に決定です(笑)。