相米慎二と押井守は80年代の金字塔
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普段はアニソン聞かないけど、こういうのがあるって知った以上は買いますよ。
しかし、オイラは結局80年代の呪縛からいつまでも逃れられない運命なんだな。
三つ子の魂百までで生きていますよ。
そーいえば、今GyaOで『台風クラブ [DVD]』やってるんだよね。DVDもってるけどな。
相米の『ションベン・ライダー』と『うる星やつら オンリー・ユー』が同時上映されたおかげで、押井守も相米に刺激されて才能を開花させ(これは言いすぎだ)、『ビューティフル・ドリーマー』という傑作を生み出したわけです。*1
『ションベン・ライダー』の次に発表された『台風クラブ』は、相米慎二の才能、ここにきわまれり、って感じだった。思春期をテーマにした青春作品の最高傑作として、愛して止みません。バービーボーイズの挿入曲もよかったし、オイラは偶然にもバービーの大ファンだったからこの偶然は嬉しかったなあ。
(比較したくはないけど『エヴァ』的な実存型セカイ系作品より、絶対こっちのが思春期特有の葛藤を見事に描いていると思うけどなあ)
で、GyaOのレビューに、
病んでるのはこの映画に出てくる中学生でも相米監督でもない。この映画を見て何も感じなかった奴。そいつこそ本当の意味で心がすさんでると思う。この映画のすごさは破天荒なストーリーながらリアリティすれすれに物語が進行するところにある。この映画は一部の頭のおかしい人々を描いているわけじゃない。80年代、いや現代を生きる若者の心情をこのうえなくリアルに描いているのである。この映画の中学生がやってることを誰もが青春時代に経験したとは思わない。だけどもあの年頃に、あの訳のわからない年頃にくすぶっていた感情がふとした瞬間にあふれ出したらどうなるだろうか?あの時考えた妄想を実際に行ったらどうなるだろうか?この映画はそれを描いている。だからリアルなんである。生の衝動。それこそがこの映画の最大のテーマ。とりあえず観て何かを感じてほしい。
ってあったけど、よく言ってくれた! と思った。自分はこのレビュアーに投票しましたよ。
どうしてそんなに80年代にこだわるのかって聞かれたら、あの独特のフロート感が好きだとしか答えようがない。
フロートしながら、終焉の予感があった、そこには今(の作品に)はない叙情を見る。
相米慎二の映画はまさにそういう映画ばかりだった。
『ビューティフル・ドリーマー』のよさが分かる人なら、多分、『台風クラブ』も好きになれると思いますので、是非、見て欲しいですね。
『台風クラブ』の方が『涼宮ハルヒ』シリーズよりずっと『ビューティフル・ドリーマー』に近い世界観だと思います。と言っても涼宮ハルヒって実はよく知らないのだ。
『台風クラブ』と『ビューティフル・ドリーマー』の共通点
- 『台風クラブ』は台風のせいで学校に「閉じ込められる」中学生のお話。『ビューティフル・ドリーマー』も「うる星」キャラが友引町に「閉じ込められる」お話。どちらも閉ざされた空間が舞台になっている。
- どこからが夢でどこからが現実なのかはっきりしないファンタジックなシーンが随所にある。
- どちらも「夜」のシーンが非常に印象的であり、効果的である。例えば、『台風クラブ』は夜の校舎。『ビューティフル・ドリーマー』も夜の友引町、というか学校そのものを徘徊しているシーンが『台風クラブ』同様にあった。「夜」の風景が双方ともに映画の世界観そのものを決定していた。
- 登場人物たちは脱出したいと思っているが、観衆から見るととても幸せそうに見える。いつまでも終わらないで欲しい、という気持ちにすらなる。
- 閉じ込められた舞台は、永遠ではなく、やがては開放される一時的な空間。
- ラストの印象がどちらも「祭は終わった」感がある。
- どちらも「夜」の風景から一転して、悲しいほどお天気な「さわやかな朝」で終わる。
以上を掲げても、ここまでの共通点がハルヒにあるとは到底思えない。
というか、ここまで共通点のある作品を別々の作家が、まったく偶然に同時期に発表していることの奇妙さよ。(『台風クラブ』は85年、『ビューティフル・ドリーマー』は84年。『台風クラブ』のほうが半年遅いわけだが、一般公募による応募作品が脚本だったので相米慎二が押井守に影響を受けたとは考えにくい。単なる偶発だったと考えるのが妥当ではなかろうか)
ただ、『台風クラブ』が『ビューティフル・ドリーマー』と違うのは、『ビューティフル・ドリーマー』は謎解きをするけど、『台風クラブ』にある思春期の情動は説明不可能なものであり、現実でもそうであるように、相米慎二はいっさい説明をしない。それが、『台風クラブ』の素晴らしさだと思う。
つーか、押井守のファンで相米慎二をみていないっつーのは、オイラから言わせればもぐりですよ。というわけで、見てください。
*1:2004-07-20 - このページを読む者に永遠の呪いあれ
押井守は「ションベンライダー」を見て、「俺も好き放題撮ってやる」と発奮して「うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー」を撮った。