現文壇界、結局の覇者/筒井康隆『笑うな (新潮文庫)』
- 作者: 筒井康隆
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1980/10/28
- メディア: 文庫
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W村上の勝利だと思っている人も大多数いると思うけれど、当然、この2人のエピゴーネンも腐るほどいるし、売れてはいるんだけれど、残念ながら文壇的・世評的評価がイマイチ低い感は否めない。
それに比べて、筒井エピゴーネンたち。町田康、川上弘美、笙野頼子、中原昌也、他にも一杯いそうだけれど、すぐに思い浮かばないがまだまだいそう。作家以外にもいるけれど。彼らは文壇でも、世評でも評価が高い作家が多い。
さらに、新人文学賞の選考委員を担っている作家が多い。結局のところ現文壇界は筒井康隆一派が影の実力者、権力的勝利者と言って過言ではないと思う。
自分にとって筒井康隆という人は「内的必然性などなく文学は出来る」ということをわかりやすくやってしまった人で、これが影響力をもって浸透してしまったのも分かるし、「これでいいんだ」と納得する人が多かったのもすごく分かる。
さらに言うと、ヴォネガットはユーモアの作家だけれど、筒井康隆はアイロニーの作家だと思っている。
アイロニーだから、内的必然性など必要としないのです。ちなみにアイロニーというのは「他人をバカにして笑わせる」で、ユーモアは「自分をバカにして笑わせる」ことです。
これは趣味主観の問題だろうけれど、自分はアイロニーより、ユーモアの方が好きです。
故に筒井作品は幾つか読んでいるけれど、その金字塔的作品に当たる「笑うな」より、普通にエンタメとして楽しめた七瀬シリーズ「七瀬ふたたび (新潮文庫)」「エディプスの恋人 (新潮文庫)」「家族八景 (新潮文庫)」の方が面白かったです。エスパーと言えば、「マミ」でなくて「七瀬」って思う。
<複>筒井康隆「笑うな (新潮文庫)」(文庫)★★